精神保健福祉士の国家試験において、「倫理綱領」は単なる暗記科目ではなく、専門職としての姿勢を問う重要な土台です。毎年、知識問題だけでなく、倫理的ジレンマを問う事例問題も出題されます。
公益社団法人日本精神保健福祉士協会より精神保健福祉士の倫理綱領
https://www.jamhsw.or.jp/syokai/rinri/japsw.htm
今回は、膨大な倫理綱領の中から試験に出やすいポイントに絞って、分かりやすく解説していきます。
倫理綱領の全体像
倫理綱領は、大きく分けて「倫理原則」と「倫理基準」の2つの柱で構成されています。
倫理原則
精神保健福祉士が持つべき基本的な考え方や価値観を示す、「憲法」のようなものです。
⇒「何をすべきか」という大きな方向性が示されています。
倫理基準
倫理原則を実際の行動レベルに落とし込んだ具体的な行動規範。「法律」のようなものです。
⇒「どうやってそれを実現するか」という具体的な行動が示されています。
これらの責務は4つの対象に向けられています。この枠組みを覚えておくと、知識の整理が格段にしやすくなります。
- クライエントに対する責務
- 専門職としての責務
- 機関に対する責務
- 社会に対する責務
クライエントに対する責務
倫理綱領の中心であり、試験でも頻出の部分です。
個人の尊厳・自己決定の尊重
- クライエントをかけがえのない存在として尊重し、基本的人権を擁護します。
- クライエントが自ら意思決定できるよう、必要な情報を分かりやすく提供し(知る権利)、その決定を支援します。
クライエントが意思決定困難な場合でも、決して専門職が勝手に決めるのではなく、本人の利益を最大限守る努力をすることが求められます。
プライバシーの尊重と秘密保持義務
業務上知り得たクライエントの秘密は、精神保健福祉士でなくなった後も保持する義務があります。
【秘密保持の例外】
原則として秘密は守らなければなりませんが、例外的に開示が許される、あるいは求められる場合があります。
- 本人の同意がある場合: 第三者への情報提供は、必ず本人の同意を得てから行います。
- 生命・身体への危険が差し迫っている場合: クライエント自身や第三者の生命に緊急の危険が予測される場合、秘密保持よりも生命の保護が優先されることがあります。ただし、その場合でも慎重な対応が求められます。
- 法令による定めがある場合: 児童虐待防止法など、法律によって通告が義務付けられている場合。
不当な金品の授受の禁止
- 定められた報酬以外に、クライエントから不当な金品を受け取ってはいけません。
- 精神的・身体的・性的ないやがらせなど、人格を傷つける行為は絶対にしてはなりません。
専門職としての責務
自分自身の専門性をどう高め、どう保つかに関する責務です。
専門性の向上とスーパービジョン
- 常に最新の知識や技術を学び、研修などに参加する継続的な自己研鑽の義務があります。
- スーパービジョンを行う立場になった際は、責任をもって指導にあたります。
地位利用の禁止
- クライエントの利益を最優先し、自己の利益(個人的、宗教的、政治的)のために専門職としての地位を利用してはいけません。
連携・協働の責務
- 他職種・他機関の専門性を尊重し、チームでクライエントを支援する姿勢が求められます。
機関に対する責務
自分が所属する組織(病院、施設、事業所など)に対する責務です。
ただ従うだけではなく、所属機関の理念や方針がクライエントの利益に反している、あるいは改善が必要だと判断した場合は、機関に対して改善を働きかける努力をすることも責務に含まれます。
社会に対する責務
より広い社会全体に対する責務です。
ソーシャルアクションや社会貢献活動を通じて、共生社会の実現や精神保健福祉の向上に貢献することが求められます。差別や偏見をなくすための活動もこれに含まれます。
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