精神保健福祉の歴史

精神保健福祉に関連する法律の制定や事件などを時系列にまとめています。

1875年

日本初の公立精神病院「京都癲狂院（きょうとてんきょういん）」が南禅寺境内に設立される。

1883年

旧相馬藩主が精神病により座敷牢に入れられた相馬事件が発生し、私宅監置に関する法整備の契機となる。

1900年

精神病者監護法が制定され、私宅監置が合法化される。

1918年

呉秀三が『精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察』を発表。「この国に生まれた不幸」を訴えた。

1919年

精神病院法が制定され、精神病院設置が推進されるが、軍備拡張により実施は進まず。

1948年

国立国府台（こうのだい）病院に「社会事業婦」が配置され、精神科ソーシャルワーカー（PSW）の原点となる。

1950年

精神衛生法が制定。

精神病者監護法（1900年）と精神病院法（1919年）を廃止
私宅監置制度（座敷牢など）を正式に廃止
→ 呉秀三らの調査・批判を経て、非人道的な監置制度に終止符を打った。
精神病院における入院形態を制度化
「同意入院（後の「医療保護入院」）」「措置入院」「仮入院制度」の創設
「保護義務者制度（後の保護者制度）」の創設

1964年

アメリカのライシャワー駐日大使が精神疾患を持つ19歳の日本人青年にナイフで右大腿部を刺され重傷を負ったライシャワー事件が発生。

1965年

精神衛生法改正。

精神障害者の通院医療費公費負担制度（現・自立支援医療費支給認定）の創設
精神衛生センター（現・精神保健福祉センター）の設置
「緊急措置入院」制度の新設
保健所に精神衛生相談員（PSWの前身）が配置　　など

1970年

心身障害者対策基本法が制定。

1983年

栃木県の精神科病院で職員による患者への暴行により2名が死亡した宇都宮病院事件が発生し、精神医療における人権侵害が社会問題化。

1987年

精神衛生法→精神保健法が制定。

「精神保健指定医」制度が創設
人権擁護機関として「精神医療審査会」が創設
「任意入院」「応急入院」制度の創設
「同意入院」⇒「医療保護入院」へ改名

1993年

障害者基本法が制定され、精神障害者が法的に「障害者」として明確化。

1993年

大和川病院事件
大阪府の大和川病院で、入院患者が他の患者から暴行を受けて死亡する事件が発生し、病院のずさんな医療体制や人権侵害が社会問題となった。

1995年

精神保健福祉法が制定。

精神障害者保健福祉手帳制度が創設される。
精神保健センターが「精神保健福祉センター」に改称。　など

1997年

精神保健福祉士法が制定され、精神科ソーシャルワーカーが国家資格として制度化。

2001年

池田小学校事件
大阪教育大学附属池田小学校に男が侵入し、児童8人を刺殺・15人を負傷させた。この事件が医療観察法制定（2003年）のきっかけになった。

2005年

障害者自立支援法が制定。

すべての障害（身体・知的・精神）を対象にした共通制度を導入
応益負担を原則とし、サービス利用に対して一律1割の自己負担を課した
利用量に比例して負担額が増える仕組みで、低所得者にも負担が重くなり社会的批判が集中
サービス利用の抑制につながるという懸念から、障害者団体などが全国で訴訟を起こす

2010年

精神保健福祉士法改正。「誠実義務」「資質向上の責務」が追加され、地域相談支援の利用に関する相談業務が明記される。

2012年

障害者総合支援法が成立（2013年施行）。

障害者自立支援法を見直し、障害の有無や種類を問わず包括的に支援する制度に転換
負担原則が応益負担から応能負担へ見直され、所得に応じた月額上限負担制度を導入
サービス体系を再整理し、地域生活支援や就労支援を強化
難病等も新たに制度の対象に追加されるなど、対象範囲が拡大

2013年

精神保健福祉法の一部改正

保護者制度の廃止
医療保護入院の同意要件が「保護者」から「家族等」に変更された。該当者がいない場合は市町村長が同意も可。
医療保護入院者の退院促進のため、精神科病院に退院後生活環境相談員（精神保健福祉士等）の設置が義務付けられた。

2016年

津久井やまゆり園事件
神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で、元職員の男が侵入し、入所者19人を殺害、26人に重軽傷を負わせた。加害者の障害者差別思想が大きな社会問題となり、障害者の尊厳と共生社会の在り方があらためて問われる事件となった。

2022年

精神保健福祉士法再改正

相談援助対象を「精神障害者及び精神保健に関する課題を抱える者」まで拡大（2024年4月施行）

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