自閉スペクトラム症(ASD)
先天的な脳の機能障害で、対人関係やコミュニケーションの困難さ、こだわりの強い行動や興味の偏りを特徴とします。小児自閉症は通常3歳頃までに症状が現れるとされています。
主な特徴
- 対人関係・コミュニケーションの困難
・相手の気持ちを読み取るのが苦手
・アイコンタクトや表情の使い方が独特
・会話のキャッチボールが難しい - こだわりの強い行動や興味
・特定の物事やルールへの強いこだわり
・同じ行動を繰り返す(常同行動)
・環境の変化に対する強い抵抗 - 感覚の過敏・鈍麻
・音や光、触覚に対して過敏または鈍感
・特定の食べ物や素材を極端に好む・避ける
2013年にDSM-5(精神疾患の診断基準)が改訂され、以下のような障害が「自閉スペクトラム症(ASD)」に統合されました。
- 自閉性障害(自閉症)
知的障害や言語の発達遅滞がある場合が多い
社会的コミュニケーションの困難や強いこだわりが特徴 - アスペルガー症候群
知的障害がなく、言語発達の遅れもないが、対人関係の困難さやこだわりの強さがある - 特定不能の広汎性発達障害
自閉症やアスペルガー症候群の診断基準を完全には満たさないが、類似の特徴を持つ
症状の幅が広く、個人によって程度が異なるため、明確に分類するよりも「スペクトラム(連続体)」として捉える方が適切で、柔軟な診断が可能になったことから統合されています。
注意欠如・多動症(ADHD)
不注意、多動性、衝動性を特徴とした障害です。
主な特徴
- 不注意
・集中が続かず、気が散りやすい
・忘れ物や物の紛失が多い
・課題や作業を最後までやり遂げるのが苦手 - 多動性
・落ち着きがなく、常に体を動かしている
・静かにしているべき場面で動き回る
・過度なおしゃべりをする - 衝動性
・順番を待つのが苦手
・他人の話をさえぎってしまう
限局性学習症(LD)
知能や視力・聴力に問題がないにもかかわらず読み・書き・計算などの特定の学習に困難がある発達障害です。
読字障害(ディスレクシア)
- 文字を正しく読むのが難しい
- 文章を読むスピードが極端に遅い
- ひらがなや漢字を間違えて読むことが多い
書字障害(ディスグラフィア)
- 文字を正しく書くのが難しい
- 形が崩れたり、誤字脱字が多い
- 文章を書くのに時間がかかる
算数障害(ディスカリキュリア)
- 計算や数字の概念を理解するのが難しい
- 繰り上がり・繰り下がりの計算が苦手
- 数の大小関係や図形の認識が難しい
知的障害
「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」と定義しています。
知的障害の判断基準は以下の通りです。
①IQ(ウェクスラー式、ビネー式などの標準化された知能検査によるもの)が70未満
②年齢に比べて低い社会適応能力とそれによる不適応
③18歳未満の発達期に現れる知的障害
補足:18歳以上で知的機能が低下した場合は、認知症や脳損傷などの別の疾患が疑われる
知的障害における知能指数(IQ)ごとの重症度と特徴

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