貧困問題
相対的貧困率
ある国・社会において、中央値所得の50%未満の所得しか得られていない人の割合を指します。
日本ではこの相対的貧困率が高い水準で推移しており、社会的孤立や精神的ストレスと密接に関連しています。
子どもの貧困率
全体の相対的貧困率のうち、18歳未満の子どもに該当する世帯の貧困率を指します。
親の経済状況が、子どもの教育・健康・将来の社会参加に大きな影響を与え、精神的な不安や孤立感の要因にもなります。
子どもの貧困対策の推進に関する法律
子どもの将来がその生まれ育った環境に左右されることなく、自立した社会人として成長できるよう支援することを目的とした法律です。(2013年施行)
子どもの貧困対策に関する大綱
- 政府は、子どもの貧困対策を総合的に推進するため、子どもの貧困対策に関する大綱を定めなければならない⇒義務
- 都道府県は、大綱を勘案して、当該都道府県における子どもの貧困対策についての計画を定めるよう努めるものとする⇒努力義務
- 市町村は、大綱(都道府県計画が定められているときは、大綱及び都道府県計画)を勘案して、当該市町村における子どもの貧困対策についての計画を定めるよう努めるものとする⇒努力義務
性同一性障害
定義
生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているもの
(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律:2003年成立)
MTFとFTM
- MTF(Male to Female) 身体的に男性 → 女性として生活したい人
- FTM(Female to Male) 身体的に女性 → 男性として生活したい人
性別変更要件
家庭裁判所は、次の1から6までの要件のいずれにも該当する者について、性別の取扱いの変更の審判をすることができます。
- 二人以上の医師により、性同一性障害であることが診断されていること
- 18歳以上であること(2022年4月より)
- 現に婚姻をしていないこと
- 現に未成年の子がいないこと
- 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
- 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること
※ 令和5年10月25日付け最高裁判所大法廷決定において、5の要件は憲法13条に違反し無効であるとの判断が示されています。
性的指向(Sexual Orientation)
「どんな性別の人に恋愛感情や性的な関心を抱くか」ということ。
・異性愛、同性愛、両性愛、無性愛 など
性自認(Gender Identity)
「自分自身をどの性別だと認識しているか」という、自分の中の性の認識。
・自分を女性だと感じる、自分を男性だと感じる、男でも女でもないと感じる など
LGBTとは
性的少数者を表す頭文字の略語です。
L(Lesbian):女性の同性愛者
G(Gay):男性の同性愛者
B(Bisexual):両性愛者
T(Transgender):性自認と身体の性が一致しない人(トランスジェンダー)
※LGBは性的指向、Tは性自認に関する概念です。
SOGI(ソジ)とは
Sexual Orientation and Gender Identity(性的指向と性自認)の略語です。
「LGBTに限らず、すべての人が持つ性のあり方」を指します。
- 誰もが性的指向や性自認を持っているという考え方が背景にあります
- 差別や偏見をなくすため、LGBTという枠にとどまらず、人権・多様性の視点で使われる言葉です
外国人と異文化
異文化ストレスとは
自分が育った文化とは異なる文化環境(例:海外・多文化地域)に適応しようとする過程で感じる
心理的・身体的な負担や不安、緊張のことをいいます。
■ 主な特徴
- 言葉、価値観、習慣、コミュニケーションの違いによって起こる
- 「カルチャーショック」と呼ばれることもある
- 軽度なら自然な反応だが、長引くと抑うつ、不安、不眠、身体症状を引き起こすことがある
カルチュアル・コンピテンス
異なる文化的背景をもつ人々と関わる際に必要な知識・態度・技術(スキル)の総合的な能力のことです。
具体的には:
- 異文化の価値観や生活習慣を理解する
- 偏見や先入観を持たない態度で接する
- 相手の文化や背景に合わせた柔軟な支援を行う能力
精神保健福祉士は「相手の文化を一方的に評価・修正しようとせず、理解し寄り添う姿勢」が求められます。
多文化共生社会
国籍や民族、文化、言語などの違いを超えて、すべての人が対等な立場で共に生き、地域社会の一員として認め合う社会のことです。
ホームレス
定義(ホームレス自立支援法)
都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者
ホームレスの実態に関する全国調査(令和7年1月)
ホームレスの起居場所
- 都市公園:25.5%
- 河川:21.6%
- 道路:24.1%
- 駅舎:5.8%
- その他の施設:22.9%
都道府県別
- 大阪府:29.5%
- 東京都:21.8%
- 神奈川県:14.1%
- 福岡県:6.3%
- その他:28.3%
自殺対策
日本の自殺統計(2024年)の特徴
1. 男女別
自殺者は男性が約7割を占め、女性は約3割です。男性の自殺者数は減少傾向ですが、女性や若年層の自殺は高止まりしています。
2. 年齢別
最も多いのは50代、次いで40代・30代です。小中高生の自殺は過去最多となり、特に女子の増加が目立っています。
3. 動機
健康問題が最多で、次いで経済・生活問題、家庭問題が続きます。小中高生では学業不振や友人関係など学校問題も多くみられます。
4. 未遂歴
自殺者の約2割に自殺未遂歴があり、女性や若年層でその割合が高いのが特徴です。特に30~39歳女性では4割超が未遂歴を持っています。
自殺対策基本法(2016年改正)
目的:「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」を目指すことが明記されました。
基本理念:自殺は個人の問題ではなく社会全体の課題であり、社会的要因も含めて総合的に取り組むべきであることが強調されました。
自殺総合対策大綱
政府は、政府が推進すべき自殺対策の指針として、自殺総合対策大綱を定めなければならない
- 社会全体の自殺リスクを低下させる
- 生きることの阻害要因を減らし、促進要因を増やす
自殺予防週間と自殺対策強化月間
- 自殺予防週間:9月10日~16日(9月10日は世界自殺予防デー)
- 自殺対策強化月間:3月(自殺者が増加しやすい時期「進学・就職・転居など生活環境の変化が多い」に合わせて設定)
自殺予防の取り組み
■ プリベンション:自殺を未然に防ぐための取り組み。
例:啓発活動、相談窓口の設置、メンタルヘルス教育。
■ インターベンション:自殺の危機にある人への直接的な介入・対応。
例:危機介入、カウンセリング、見守り・同行支援。
■ ポストベンション:自殺が起きた後の遺族や関係者への支援。
例:グリーフケア、心のケア、地域のフォロー体制づくり。
■ ゲートキーパー
自殺の危険を示すサインに気づき、悩んでいる人に声をかけ、話を聴き、必要な支援につなげ、見守ることができる人のこと。
■ ウェルテル効果
有名人の自殺報道などがきっかけで、一般の人の自殺が増加する現象。
■ パパゲーノ効果
マスメディアが「自殺を思いとどまった人の体験談」や「困難を乗り越えて生きる選択をした事例」を積極的に伝えることで、同じように悩む人々の自殺を抑制する効果。
精神保健の予防
カプランの予防精神医学
■ 第一次予防
精神障害の発生そのものを未然に防ぐことを目的とした取り組み。
例:メンタルヘルス教育、ストレス対策、相談窓口の設置。
■ 第二次予防
精神障害の早期発見・早期治療を目的とした取り組み。
例:スクリーニング、早期介入、かかりつけ医のフォロー。
■ 第三次予防
精神障害の再発防止と社会復帰支援を目的とした取り組み。
例:リハビリテーション、デイケア、就労支援、家族支援。
精神保健活動のアプローチ
吉川武彦が精神保健活動の3つの側面について以下の通りに概念化しました。
■ 積極的精神保健(ポジティブ・メンタルヘルス)
心の健康の増進や自己実現を目指す前向きな取り組み
対象:主に地域住民
■ 支持的精神保健(サポーティブ・メンタルヘルス)
困難を抱える人に寄り添い、支え、安心感を与える活動
対象:精神疾患に罹っている人や医療が中断しがちな人
■ 総合的精神保健(トータル・メンタルヘルス)
積極的精神保健と支持的精神保健の両方の視点を統合し、
地域や社会全体で精神障害者を支援する包括的なアプローチ
対象:精神障害をもつ人とその家族、地域全体
ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチ
■ ポピュレーションアプローチ
地域全体や集団全体を対象に、健康増進や病気予防を行う方法。(一次予防の役割)
■ ハイリスクアプローチ
病気や問題が起こる危険性が高い人を対象に、重点的に支援・介入を行う方法。(二次予防の役割)
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