目次
犯罪被害者支援
犯罪被害者等基本法
犯罪被害者やその家族、遺族などの権利利益を保護することを目的として、国や地方公共団体が講ずべき施策の基本事項を定めています。(2004年制定)
定義
- 犯罪等:犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為
- 犯罪被害者等:犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族
「犯罪」とは、殺人、強盗、放火、強制性交、傷害等、刑法その他の刑罰法規の規定により、刑罰を科せられる行為
「これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為」とは、刑罰を科せられる行為ではないが、それに類似する行為であって、行為の相手方の心身に有害な影響を及ぼすような性質を有する行為(例:いじめ、虐待、DV、ストーカー行為、性暴力等)
犯罪被害者等基本計画:政府が策定
犯罪被害者等施策推進会議:特別な機関として内閣府に置く
被害者が抱える心理的影響
犯罪被害後の心理状態として、以下のような反応が見られることがあります。
- 強い恐怖や不安、怒り、無力感
- フラッシュバックや悪夢、回避行動などのPTSD(心的外傷後ストレス障害)症状
- 社会への不信感、引きこもり、対人関係の困難
トラウマインフォームドケア
支援に関わる人々がトラウマ(心の傷)についての知識や対応方法を身につけ、支援対象者がトラウマを抱えている可能性を常に考慮して接するという支援の方法
犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン
このガイドラインは、犯罪被害者の急性期における心理社会的支援の標準的な手順と配慮事項を示し、専門家以外の支援者でも実践できる内容となっています。
支援の原則
- 犯罪被害者の人権と尊厳を尊重し、被害者の立場に立った支援を行うこと。
- 被害者が安全・安心を感じられる環境を整えることが最優先。
- 二次被害(支援者や周囲の言動による被害の再発)や再被害の防止に十分配慮する。
犯罪被害者への情報提供は、被害者の状況や精神的負担に配慮し、混乱している急性期には過度な情報を一度に与えず、適切な時期に必要な量だけを段階的に行うことが重要です。
犯罪被害給付制度
殺人などの故意の犯罪により重大な被害を受けた犯罪被害者やその遺族に対して、国が給付金を支給し、被害の早期軽減と平穏な生活の再建を支援する制度です。
給付金の種類
- 遺族給付金: 亡くなられた被害者の第一順位遺族に支給されます。
- 重傷病給付金: 治療期間が1ヶ月以上、かつ入院が3日以上を要する重傷病を負った被害者本人に支給されます。
- 障害給付金: 犯罪行為により障害が残った被害者本人に支給されます。
反復違法行為
ストーカー規制法
ストーカーとは
特定の者に対して、恋愛感情その他の好意またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を背景として、次のようなつきまとい等(ストーカー行為)を反復して行うこと
- つきまとい・待ち伏せ・押しかけ
- 監視していると告げる行為
- 面会や交際の要求
- 著しく粗野・乱暴な言動
- 無言電話・連続した電話・ファクス・電子メール等の送信
- 汚物などの送付
- 名誉を害する行為
- 性的羞恥心を害する行為(性的な内容の行動など)
ポイント
- 動機は恋愛感情やそれに基づく怨恨であることが必要
- 1回限りの行為では「ストーカー行為」とはならず、複数回繰り返されることが必要
(明確な回数規定はないが、2回以上の行為で「被害者の不安」が基準)
ストーカー規制法における警告・禁止命令等
警告
警察(警視総監・道府県警察本部長・警察署長)は、被害者から申出があった場合に、次の条件を満たすとき、加害者に対して警告を出すことができます。
警告が出される条件
- つきまとい等または位置情報無承諾取得等の行為が認められる
- さらにその行為を繰り返すおそれがあると判断される
警告は警察が出す注意喚起で法的拘束力はなく、違反しても罰則はありません。
禁止命令
都道府県公安委員会が、ストーカー行為を防ぐために加害者に対して法的拘束力を持って行動を禁止する命令です。違反すれば、刑事罰(懲役・罰金)の対象となります。
禁止命令が出される条件
- つきまとい等(ストーカー行為)が行われた
- さらに反復して行為をするおそれがあると認められる場合
- 相手方(被害者)の申出または公安委員会の職権による
その他の反復違法行為の例
クレプトマニア(窃盗症)
- 必要がないにもかかわらず、衝動的に盗みを繰り返してしまう障害。
- 窃盗行為自体が目的化しており、物品の金銭的価値や使用目的とは関係がない。
パラフィリア症群(性嗜好症群)
- 社会的に許容されない性的対象や行為に対して、強い欲求や反復的な行動を示す精神疾患。
- 例:露出症、窃視症(のぞき行為)など。
ピロマニア(放火症)
- 火を見ることへの強い興味や興奮により、意図的に放火を繰り返す衝動制御障害。
- 金銭目的や恨みなどの動機がなく、放火自体に快感を覚えることが特徴。
医療観察法
正式名称:心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律
2003年公布
制定目的
心神喪失または心神耗弱の状態で重大な他害行為を行った者に対して、適切な医療と社会復帰支援を行うことで、再発防止と社会復帰を図ることを目的としています。
重大な他害行為
- 殺人
- 傷害(軽微なものを除く)
- 放火
- 強盗
- 不同意性交等(旧:強制性交等罪)※2023年刑法改正により名称変更
- 不同意わいせつ(旧:強制わいせつ罪)※2023年刑法改正により名称変更
心神喪失と心神耗弱
- 心神喪失:精神障害により、善悪を全く判断できないか、または判断したとおりに行動することが全くできない状態
- 心神耗弱:精神障害により、善悪の判断力または判断どおりに行動する力が著しく低い状態
主な処遇
- 入院処遇:指定医療機関で専門治療(期間無制限(18か月を目標)、6ヶ月ごと審査)。
- 通院処遇:保護観察所の指導下で地域治療(原則3年、最長5年)。
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