学習
レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)
ロシアの生理学者パブロフが発見した学習理論で、もともと自然に起こる反応(生理的反応)に、別の刺激を結びつけることで習得される学習。
パブロフの犬の実験:犬にベルの音を聞かせてからエサを与えることを繰り返すと、やがてベルの音だけで唾液が出るようになる。
このように、本来反応を起こさない刺激に対して反応が出るようになるのが特徴。
オペラント条件づけ(道具的条件づけ)
アメリカの心理学者スキナーが提唱した学習理論で、自発的な行動に対して報酬や罰を与えることで、行動の頻度が変化するという仕組み。
スキナー箱:空腹のネズミがスキナー箱に入れられ、偶然レバーを押すとエサが出てくる。これを繰り返すことで、「レバーを押せばエサがもらえる」と学習し、自発的にレバーを押す行動が増えていく。
オペラント条件づけの型
正の強化:望ましい行動の後に報酬などの好ましい刺激を与えることで、その行動の頻度が増加する。
例:宿題を提出したら「よくできたね」と褒められたため、次回も提出するようになった。
正の罰:望ましくない行動の後に不快な刺激を与えることで、その行動の頻度が減少する。
例:授業中にスマホを使ったら先生に叱られ、その後は使わなくなった。
負の強化:望ましい行動の後に不快な刺激が取り除かれることで、その行動の頻度が増加する。
例:うるさいアラームが宿題を終わらせると止まるため、すぐに取りかかるようになった。
負の罰:望ましくない行動の後に好ましい刺激が取り除かれることで、その行動が減少する。
例:約束を破ったことでスマートフォンの使用を制限され、次からは注意するようになった。
「正=何かを与える」「負=何かを取り除く」/「強化=行動が増える」「罰=行動が減る」という構造で整理すると、試験でも間違いにくくなります。
モデリング(観察学習)
バンデューラが提唱した理論で、他者の行動とその結果を観察することで学習が成立するという考え方。直接報酬を受けなくても、他人の行動を見て「こうすればいいのか」と学ぶことができる。
例:兄が自転車の乗り方を覚えるのを見て、弟も自然に乗れるようになる。
模倣学習
他者の行動をそのまままねることによって学習が成立する方法。観察学習と似ているが、結果を考えずに行動そのものを模倣する点が特徴。
例:幼児が親のしぐさや言葉をそのまま真似する。
試行錯誤学習
ソーンダイクが提唱した理論で、成功した行動が強化されて繰り返され、失敗した行動は消えていくという学習の仕組み。「効果の法則」によって、結果が良かった行動が学習されるとされる。
例:猫が檻の中から出ようとして様々な行動をとり、偶然レバーを押して出られると、次からはすぐにレバーを押すようになる。
洞察学習
ケーラーが提唱した理論で、状況を全体的に把握し、突然「ひらめき」によって問題解決がなされる学習。繰り返しの試行錯誤ではなく、「理解」を通じて行動が変わる。
例:チンパンジーがバナナを取るために、箱を重ねて棒を使う方法をひらめきで思いついた。
記憶
記憶の過程
- 記銘(符号化)
見聞きした情報を理解し、記憶として脳に取り込む段階。
情報を覚えるための入り口であり、注意や理解が重要となる。 - 保持(貯蔵)
記銘された情報を、一定期間忘れずにとどめておく段階。
短期的な記憶から長期記憶への移行もこの段階に含まれる。 - 再生(検索)
保持された情報を必要なときに思い出したり、取り出したりする段階。
再生のしやすさは、記銘の質や保持期間に影響を受ける。
記憶の種類
感覚記憶
五感を通じて得た情報を、ごく短い時間(1秒程度)保持する記憶。
刺激が消えた直後に一瞬だけ残る、最も短時間の記憶。
短期記憶
- 情報を一時的に“覚えておく”ためのシンプルな貯蔵庫
- 数秒〜十数秒程度保持され、処理は行わない
- 情報を「覚えておく」こと自体が目的
例:今聞いた電話番号をメモするまで頭にとどめておく
作動記憶(ワーキングメモリ)
- 情報を一時的に保持しながら“使って考える”作業スペース
- 情報を操作・処理することが目的で、思考や理解と深く関わる
例:計算問題を解くときに、数値を一時的に覚えて使う、文章を読みながら意味を考える
長期記憶
1. 陳述記憶(明示的記憶)
言葉で説明できる、意識的に思い出せる記憶。
主に「知っていること」「覚えていること」に関わる。
エピソード記憶
時間や場所の情報を含む、個人的な体験の記憶。
例:昨日友達とカフェに行ったこと
└ 自伝的記憶
エピソード記憶の中でも、自己に関する長期的・物語的な記憶。
例:高校時代の部活の思い出
意味記憶
事実・知識・言葉の意味など、文脈に関係なく成り立つ知識の記憶。
例:日本の首都は東京である
2. 非陳述記憶(暗黙的記憶)
言葉で説明しにくく、無意識のうちに表れる記憶。
主に「体で覚える」「習慣的にできる」ことに関わる。
手続き記憶
習慣的な動作や技能、体の使い方に関する記憶。
例:自転車の乗り方、キーボードのタイピング
・プライミング記憶
以前に受けた刺激が、その後の行動や判断に無意識に影響する記憶。
例:何度も同じ商品の広告を目にすることで、その商品名やロゴが無意識のうちに記憶に刷り込まれ、店頭でその商品を選びやすくなる
3.展望的記憶
これから実行すべき予定や行動を、未来の適切なタイミングで思い出して実行する記憶。
時間や出来事に応じて、記憶を引き出し、自発的に行動を起こす点が特徴。
例:午後3時になったら薬を飲む
駅に着いたらメールを送る
忘却曲線
忘却曲線とは、ヘルマン・エビングハウスが行った実験に基づく理論で、「人は時間の経過とともに記憶をどれだけ忘れていくか」を表したものです。
忘却の割合(目安)
彼の実験結果から、以下のような傾向が見られました
- 20分後:約42%を忘れる
- 1時間後:約56%を忘れる
- 1日後:約74%を忘れる
- 1週間後:約77%を忘れる
- 1か月後:約79%を忘れる
記憶は最初の24時間で急激に失われ、その後はゆるやかに忘却が進むということが分かっています。
その他
想起と再認
- 想起:何も手がかりがない中で記憶を思い出す
例:自分の電話番号を思い出す - 再認:見たり聞いたりして、記憶と一致するものを見つける
例:四択問題などで、答えを「見て思い出す」
→「見ればわかるけど、自分からは思い出せない」状態での正解が典型。
記憶の干渉(干渉説)
類似した記憶が互いに邪魔をして思い出しにくくなる現象
- 順向干渉:前に覚えたことが、新しい記憶の妨げになる
- 逆向干渉:あとから覚えたことが、以前の記憶を思い出しにくくする
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