骨
骨は、体を支える・守る・動かすという基本的な働きに加え、血液をつくる・カルシウムを蓄えるといった重要な役割も担っています。
成人のヒトの体には、約206個の骨があります。骨の数には個人差があり、例えば、肋骨や椎骨の数が異なる場合があります。新生児の骨は約350個ありますが、成長の過程で骨が融合し、数が減少します。
骨の役割
- 支持:体の形を保ち、内臓の位置を固定する。
- 保護:脳(頭蓋骨)、心臓や肺(胸郭)など、重要な臓器を守る。
- 運動:筋肉と連動して体を動かす。
- 造血:骨の内部にある骨髄で、赤血球や白血球などの血液成分をつくる。
- 貯蔵:カルシウムやリンなどのミネラルを蓄え、必要に応じて血液中に放出する。
代表的な疾患
- 骨粗しょう症:骨の密度が低下し、もろくなって骨折しやすくなる疾患。
- 骨折:強い衝撃などによって骨が折れたりひびが入った状態。加齢や骨粗しょう症がリスク要因になる。
骨折しやすい部位
大腿骨頸部:太ももの付け根にある部分で、高齢者の転倒による骨折の代表。寝たきりの原因にもなりやすい。
橈骨遠位端:手首の骨の近くで、転んで手をついたときに折れやすい(コーレス骨折)。
脊椎:背骨の圧迫骨折が多く、特に骨粗しょう症のある人に起こりやすい。
筋肉
筋肉は、体を動かす、姿勢を保つ、内臓を動かすなど、生命活動に欠かせない働きをする組織です。体の約40%を筋肉が占めています。
筋肉の種類
- 骨格筋:自分の意思で動かせる筋肉。手足や体を動かしたり、姿勢を保ったりする。関節をまたいで骨についており、筋収縮によって運動を生む。
- 平滑筋:内臓や血管の壁にある、自分の意思で動かせない筋肉。胃や腸の動き、血管の収縮などを自動的に調整する。
- 心筋:心臓を構成する筋肉。自分の意思とは無関係に、休まず収縮して血液を全身に送り出す。
代表的な疾患
- 筋ジストロフィー:筋肉が徐々に弱くなり、筋力が低下していく遺伝性の疾患。
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS):筋肉を動かす神経が障害され、筋力が徐々に低下していく進行性の神経疾患。
血液
血液は、酸素や栄養素を全身に運び、老廃物を回収し、体を守る働きを持つ重要な体液です。心臓のポンプ作用によって全身を循環しています。
血液の主な成分と役割
- 血漿(けっしょう):水分を多く含み、栄養素やホルモン、老廃物などを運ぶ液体成分。
- 赤血球:酸素を肺から体中の細胞に運び、二酸化炭素を回収する。
- 白血球:細菌やウイルスなどの病原体と戦い、免疫の働きを担う。
- 血小板:出血したときに血を固めて止める。止血作用に関わる。
代表的な疾患
- 貧血:赤血球やヘモグロビンが不足し、酸素が十分に運ばれなくなる状態。めまい、息切れ、疲れやすさが起こる。
- 白血病:白血球が異常に増殖し、正常な血液細胞が作れなくなる血液のがん。
眼
眼の主な構造と役割
- 角膜:目の一番外側にある透明な膜。光を取り入れ、眼の中に屈折させる。
- 水晶体(レンズ):厚さを調節することでピントを合わせ、網膜に鮮明な像を結ぶ。
- 虹彩:瞳孔の大きさを調整し、目に入る光の量を調節する。
- 網膜:光を受け取る細胞が集まっており、視神経を通じて脳に情報を送る。
- 視神経:網膜で受け取った視覚情報を脳に伝える神経。
代表的な疾患
- 白内障:水晶体が濁って視界がぼやける疾患。高齢者に多い。
- 緑内障:眼圧の上昇などにより視神経が障害され、視野が欠けていく疾患。放置すると失明の危険もある。
耳
耳の主な構造と役割
- 外耳:音を集めて鼓膜へと伝える部分。
- 中耳:鼓膜が音の振動を受け取り、耳小骨を通じて内耳へと伝える。
- 内耳
蝸牛:音の振動を電気信号に変えて聴神経を通じて脳へ伝える。
三半規管・前庭:体の傾きや動きを感知し、バランスを保つ。
代表的な疾患
- メニエール病:内耳の異常により、めまいや耳鳴り、難聴が繰り返し起こる疾患。
- 難聴:音が聞こえにくくなる状態。加齢や騒音、病気などが原因。
伝音難聴:外耳や中耳の障害により、音が内耳に届かない状態(例:中耳炎、耳垢栓塞など)
感音難聴:内耳や聴神経の障害により、音は届いてもうまく感じ取れない状態(例:加齢性難聴、メニエール病など)
内分泌器官
脳下垂体
- 成長ホルモン:身体の成長を促進する
- 甲状腺刺激ホルモン(TSH):甲状腺の働きを活性化する
- 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH):副腎皮質にホルモン分泌を促す
甲状腺
- 甲状腺ホルモン:体の代謝を活発にし、エネルギーの産生や体温調節を助ける。
- カルシトニン:血液中のカルシウムを減らす働きがある。
- 副甲状腺ホルモン:骨や腎臓に働きかけて、血液中のカルシウムを増やす。
副腎
- 副腎皮質:
- コルチゾール:ストレスへの対応、代謝の調整
- アルドステロン:水分・塩分バランスを調整
- 副腎髄質:
- アドレナリン・ノルアドレナリン:心拍数や血圧を上げる(交感神経系と連動)
膵臓(ランゲルハンス島)
- インスリン:血糖値を下げる
- グルカゴン:血糖値を上げる
性腺
- 精巣:テストステロン(男性ホルモン)
- 卵巣:エストロゲン、プロゲステロン(女性ホルモン)
松果体
- メラトニン:睡眠と覚醒のリズム(概日リズム)を調整
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